なぜ、大富豪は「地味なバン」から降りてくるのか?
執事が見た、超富裕層の車選びに隠された
「資産防衛」の鉄則

世間一般では「お金持ち=高級スポーツカーやリムジン」というイメージが根強くあります。
しかし、私たち日本バトラー&コンシェルジュがお仕えしている、金融資産5億円を超えるような「超富裕層」の方々の現実は、そのイメージとは大きく異なります。

彼らの多くは、街中で見かけても振り返ることのないような、機能的な国産車や目立たないセダンを選びます。
それは決して「ケチ」だからではありません。
彼らの車選びの裏側には、一般の方々が想像もしない「極めて合理的な資産防衛」と「リスク管理」の哲学が存在するのです。
本記事では、執事の現場視点から「なぜ超富裕層は高級車を選ばないのか」を構造的に解説します。

車は「ステータス」ではなく
「移動するオフィス」である

まず、車に対する定義が根本的に異なります。
多くの人にとって、高級車は自己表現や成功の証(ステータスシンボル)です。
しかし、超富裕層にとっての車は、目的地へ安全かつ快適に移動するための「ツール」であり、移動中も思考や決断を行うための「オフィス」です。

彼らが重視するのは、以下の5点です。
1. 乗り心地(疲労しないか)
2. 安全性(命を守れるか)
3. 静粛性(思考や電話会議を邪魔しないか)
4. 運転手との相性(ストレスがないか)
5. 目立たないこと(プライバシーの保護)

これらを満たすために、派手なロゴや轟音を響かせるエンジンはむしろ邪魔になります。
結果として、アルファードやヴェルファイアのような、室内空間が広く、静かで、外見が馴染む車が「最強の移動手段」として選ばれるのです。

一般的な富裕層(小金持ち)

車 = 消費・ステータス
・人に見せびらかしたい
・最新モデルに乗りたい
・ブランドロゴが重要
・「所有する喜び」を重視

超富裕層(資産家)

車 = 資産管理・ツール
・安全に移動したい
・資産価値を減らしたくない
・目立ちたくない
・「機能する喜び」を重視

高級車は「資産価値が下がる」
最も非合理な買い物

超富裕層は、お金の使い方に対して非常にシビアです。
彼らの判断基準は常に「それは資産(Asset)か、負債(Liability)か」にあります。
多くの高級車は、新車で購入しナンバープレートを付けた瞬間に、価値が20〜30%下落します。3年も乗れば半値になることも珍しくありません。

「1000万円で買ったものが、翌日には700万円になる」
ビジネスの感覚で言えば、これほど割の合わない投資はありません。
彼らは、資産価値が維持されないもの、出口(売却)戦略が描けないものには、原則として多額の資金を投じません。
その資金があれば、彼らは迷わず「事業」「投資」「不動産」といった、将来リターンを生む対象に配分します。

「目立つこと」は最大のリスクである

私たちがご支援している、いわゆる「隠れ富裕層」の方々は、目立つことを極端に嫌います。
派手な高級車に乗ることは、以下のリスクを自ら招き寄せる行為だからです。

派手な車が招く4つのリスク

1. 盗難・犯罪リスク: 資産があることを周囲に宣伝しているようなもの。
2. 詮索・嫉妬: 近隣住民やメディアからの不要な注目を集める。
3. 税務リスク: 税務署などからの不必要な関心を招く。
4. 社会的信用の低下: ビジネスにおいて「浪費家」「見栄っ張り」というネガティブなレッテルを貼られる。

「能ある鷹は爪を隠す」という言葉通り、本物の富裕層ほど、街の風景に溶け込むことを好みます。
これをセキュリティ用語で「グレイマン(目立たない人)戦略」と呼びますが、彼らは車選びにおいてもこの戦略を徹底しています。
誰にも気づかれず、静かに移動し、確実に目的を遂行する。
それが彼らにとっての「最高のラグジュアリー」なのです。

例外:超富裕層が
あえて「高級車」を買う唯一の条件

もちろん、超富裕層のガレージにフェラーリやポルシェが並んでいることもあります。
しかし、それは「消費」ではありません。「投資」です。

・Ferrari LaFerrari
・Porsche 911 R
・Classic Mercedes

これらは「限定生産」や「歴史的価値」があり、時間が経つほどに価格が上昇する特殊な車です。
彼らが高級車を買うのは、「乗りたいから」以上に「将来価値が上がることが確実だから」です。
ここでも判断基準は「リターンがあるか」です。
彼らのガレージは、駐車場ではなく、美術品倉庫や金庫と同じ役割を果たしているのです。

■ 執事の視点:車選びは「思考の鏡」

執事としてお仕えしていると、車選びはその方の人生観や思考習慣を如実に映し出すと感じます。
成金的な方は、自分がどう見られるか(他者評価)を気にして車を選びます。
本物の富裕層は、自分がどう過ごしたいか(自己充足と実利)で車を選びます。
「維持費」「税金」「リセールバリュー」「時間効率」。
これらを瞬時に計算し、最も合理的解として「地味な車」を選ぶ。
その姿に、私たちは「富を守り抜く人の知性」を見るのです。

まとめ:
富裕層の車選びに学ぶ「資産思考」

なぜ超富裕層は高級車を選ばないのか。
その答えは、彼らが「車」という物体ではなく、その背後にある「コスト」「リスク」「リターン」を見ているからです。

  • ・資産価値が下がるものに大金を使わない
  • ・目立つことのリスクを理解している
  • ・社会的信用を何より大切にする
  • ・資金は消費ではなく投資に回す

この合理的な判断の積み重ねこそが、彼らが富を築き、そして守り続けている最大の理由なのです。

記事執筆者・監修者

新井 直之
(NAOYUKI ARAI)

執事
日本バトラー&コンシェルジュ株式会社 代表取締役社長
一般社団法人 日本執事協会 代表理事
一般社団法人 日本執事協会 附属 日本執事学校 校長

大富豪、超富裕向け執事・コンシェルジュ・ハウスメイドサービスを提供する日本バトラー&コンシェルジュ株式会社を2008年に創業し、現在に至る。

執事としての長年の経験と知見を元に、富裕層ビジネス、おもてなし、ホスピタリティに関する研修・講演・コンサルティングを企業向けに提供している。

代表著作『執事が教える至高のおもてなし』『執事だけが知っている世界の大富豪58の習慣』。日本国内、海外での翻訳版を含めて約20冊の著作、刊行累計50万部を超える。

本物執事の新井直之
上部へスクロール