
「あの人はいい人だから」が命取りになる。
生命保険営業を起点とした投資詐欺から、
富裕層の資産を守る「非情な防衛術」
「まさか、あの人が…」
「10年以上、我が家の資産を見てくれていたのに…」
資産を失った富裕層のお客様が、最後に必ず口にする言葉です。
近年、富裕層を狙った投資詐欺のトレンドが変化しています。
怪しいブローカーが持ちかけるのではありません。
長年付き合いのある、大手金融機関や生命保険会社の「トップ営業マン」が、ある日突然、加害者へと変貌するのです。
なぜ、信頼できるはずのパートナーが牙をむくのか。
本記事では、執事の現場で目撃してきた「信頼型詐欺」の構造と、資産と信用を守り抜くための具体的な防衛術を解説します。
なぜ「生命保険営業」が
詐欺の起点になりやすいのか
最初に断っておきますが、多くの保険営業の方は誠実に職務を全うされています。
しかし、構造上、この職種が「詐欺の温床」になりやすい危険な要素を孕んでいることも事実です。
1. 資産の「内部情報」を把握している
保険契約の過程で、彼らは顧客の「総資産」「家族構成」「現金の流動性」「将来の不安」をすべて把握します。
つまり、「誰が、いつ、いくら出せるか」という、詐欺師にとっての「完璧なターゲットリスト」を持っている状態なのです。
2. 「信頼」が強すぎる
保険は長期契約です。担当者とは10年、20年の付き合いになることも珍しくありません。
家族ぐるみの付き合いになり、食事をし、ゴルフに行く。
この「情」が、富裕層の最大の弱点になります。
「あの人が変なものを持ってくるわけがない」というバイアスが、正常な判断力を麻痺させるのです。
3. フルコミッション(完全歩合制)の闇
外資系や乗り合い代理店の営業マンの多くは、完全歩合制です。
成績が良い時は年収数千万円ですが、落ちれば生活さえままならなくなります。
高い生活水準を維持するために、あるいは借金を返すために、魔が差す。
「顧客の資産」を「自分の財布」と錯覚した瞬間、悲劇が始まります。
詐欺は「怪しい人」から来ない。
「一番信頼している人」から来る。
詐欺の基本構造:
破滅への5ステップ
彼らが仕掛ける詐欺には、驚くほど共通した「型」があります。
このパターンを知っているだけで、被害の9割は防げます。
最初はまっとうな保険商品を提案し、実績を作ります。「優秀な営業マン」という評価を確立します。
頻繁な訪問、手土産、プライベートな相談。心理的な距離を詰め、「家族同然」のポジションを確保します。
ここが分岐点です。
「実は、会社には内緒ですが」「特別な顧客だけに紹介している投資案件があります」
正規の保険商品ではなく、架空の投資話や、個人的な融資を持ちかけます。
「枠を確保するために」「手数料を節約するために」といった理由で、保険会社の口座ではなく、個人名義や別法人への送金を指示します。
最初は配当が出たりしますが、それは他の顧客から集めた金です(ポンジ・スキーム)。資金が回らなくなった時、彼らは姿を消します。
「富裕層だから騙されない」
という最大の誤解
「私はビジネスで成功してきたから、人を見る目には自信がある」
そう仰る方ほど、コロッと騙されます。
なぜなら、詐欺師は「あなたのその自信」を利用するからです。
・「あなただけに(特別感)」
・「今だけ(限定性)」
・「先生ならわかるはず(自尊心の刺激)」
これらの言葉で、富裕層の「特権意識」と「判断のショートカット(忙しいから任せたい)」を突き、正常な思考を停止させます。
騙されるのは、判断力の問題ではありません。
「信頼構造」を悪用されていることに気づけない、心理的な死角の問題なのです。
執事が提唱する
「資産防衛3原則」
私たち日本バトラー&コンシェルジュが、お客様の資産を守るために徹底している「鉄の掟」があります。
これらは、どんなに親しい相手であっても例外なく適用します。
原則①:仕組みを説明できない投資は買わない
「どうやって利益が出るのか?」を小学生でもわかるように説明できない商品は、詐欺か、ハイリスク商品です。
「AIが」「海外の特殊なスキームで」といった煙に巻く説明は、理解できないのではなく、実体がないのです。
原則②:個人口座への送金は1円たりともしない
これが最強の防御策です。
正規の金融商品は、必ず「金融機関名義の口座」に振り込みます。
担当者個人、あるいは担当者が作った「〇〇コンサルティング」のような別会社への送金指示が出た時点で、それは100%詐欺(または横領)です。
どんな理由があろうと、個人口座へ送った金は戻ってきません。
原則③:独立した第三者のチェックを入れる
「誰にも言わないでください」と言われたら、即座に誰かに言ってください。
詐欺師は、第三者の冷静な視点を何よりも恐れます。
顧問弁護士、税理士、あるいは私たちのような執事。
利害関係のない第三者に「これ、どう思う?」と一言聞くだけで、洗脳は解けます。
まとめ:
資産を守るのは「人柄」ではなく「仕組み」
「あの人を信じたい」という気持ちは尊いものです。
しかし、資産保全において「感情」は最大の敵です。
資産を守るのは、担当者の笑顔や人柄ではありません。
「検証」「記録」「ルール」という、冷徹なまでの仕組みです。
私たち執事は、お客様の代わりに「疑う役割」を担います。
それは、お客様を裏切るためではなく、お客様の未来と、お客様が大切に思っているその担当者自身を一時の迷いから守るためでもあります。
信頼を構造化すること。
それこそが、真の富裕層のたしなみなのです。
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