執事の品質は「夜」に作られる。
お客様の信頼を守り抜くための、
プロフェッショナルの「隠れた12時間」

一流の執事と、そうでない執事。
その決定的な差は、どこで生まれるのでしょうか。
現場での立ち振る舞い? 知識の量?

もちろんそれも重要ですが、本質的な差はもっと見えない場所にあります。
それは、「帰宅してから翌朝出勤するまでの過ごし方」です。

私たち日本バトラー&コンシェルジュは、スタッフのプライベートな時間こそが、翌日のサービスの質を決定づける「最重要の準備時間」であると考えています。
本記事では、富裕層のお客様の信頼に応えるために、私たちが実践している「夜の習慣管理術」について公開します。

なぜ「夜」が勝負なのか
見えない時間の使い方が信頼を作る

執事の仕事は、常に高度な緊張感と判断力を求められます。
お客様の一挙手一投足に気を配り、先回りして行動する。
このパフォーマンスを365日、ムラなく発揮し続けるためには、心身のコンディションが常に「フラット(平常)」でなければなりません。

もし、夜更かしをして睡眠不足のまま出勤したらどうなるか。
判断速度が0.1秒遅れます。
その0.1秒の遅れが、お客様をお待たせすることに繋がり、事故のリスクを高め、最終的には「信頼の喪失」に直結します。
プロフェッショナルにとって、夜の時間は「自由時間」であると同時に、「翌日のためのメンテナンス時間」でもあるのです。

プロフェッショナルとは、
誰も見ていない時間に
自分を律することができる人間である。

Definition of Professionalism

帰宅直後の「10分」が
翌日の余裕を作る

疲れて帰宅したとき、ついソファに倒れ込んでダラダラしてしまう。
人間なら誰しもあることですが、プロの執事はここを「仕組み」で乗り越えます。
帰宅直後の10分間に行うルーティンが決まっているのです。

1. 「リフレクション(振り返り)」の記録

その日の業務で起きたことを、記憶が鮮明なうちにメモに残します。
・お客様が喜ばれた瞬間
・小さなミスの原因
・明日の優先事項
これを書き出すことで、脳内の「未完了タスク」を吐き出し、頭をクリアにします。
経験をただの「過去」にせず、「知識」へと昇華させるための儀式です。

2. 「明日」のセットアップ

翌日着るシャツ、磨いた靴、手帳。
これらを全て定位置にセットしてから、初めてリラックスモードに入ります。
朝の忙しい時間に「探す」「選ぶ」「迷う」という決断エネルギーを使わないためです。
朝のスタートダッシュがスムーズであれば、その日一日は余裕を持ってお客様に向き合うことができます。

夜は「無意識」が出やすい
だからこそ管理する

夜は、一日の疲れが出て、人間の弱さ(無意識)が露呈しやすい時間帯です。
だからこそ、私たちは意図的に「やらないこと」を決めています。

  • スマートフォンのダラダラ見
    情報を遮断し、脳を休める時間を確保する。無目的な情報の摂取は、思考力を奪う「ノイズ」となる。
  • ネガティブな発言・思考
    疲れている時ほど不満が出やすい。言葉は思考を作るため、意識的に感謝や良かったことに目を向ける。
  • ジャンクフードでの夜食
    食事は「燃料」。翌日のパフォーマンスを最大化するために、野菜とタンパク質を中心とした回復食を摂る。

「回復」も業務の一部である
自己投資としての休息

富裕層のお客様対応は、感情労働の側面も強く持っています。
自分自身のコップが満たされていなければ、他者に奉仕することはできません。
そのため、私たちは「休息」をサボりや贅沢ではなく、「業務の一環(投資)」と捉えています。

執事の回復プログラム
入浴によるリセット シャワーで済ませず、湯船に浸かることで副交感神経を優位にし、オンとオフを物理的に切り替える。
1日5分のインプット どんなに忙しくても、読書や教養動画に触れる時間を持つ。思考を止めないことが、明日の提案力に繋がる。
完全な睡眠 寝室環境を整え、質の高い睡眠を確保する。睡眠不足はプロ失格の烙印と同じである。

まとめ:
24時間すべてが「執事」である

厳しいように聞こえるかもしれませんが、富裕層ビジネスにおいて「プライベートだから関係ない」という言い訳は通用しません。
お客様は、私たちの表面的なスキルだけでなく、その背後にある「人間性」や「生活の規律」を見抜かれているからです。

夜を整える。
思考を止めない。
回復を怠らない。
誰も見ていない時間の積み重ねだけが、いざという時の「圧倒的な信頼」を築くのです。

記事執筆者・監修者

新井 直之
(NAOYUKI ARAI)

執事
日本バトラー&コンシェルジュ株式会社 代表取締役社長
一般社団法人 日本執事協会 代表理事
一般社団法人 日本執事協会 附属 日本執事学校 校長

大富豪、超富裕向け執事・コンシェルジュ・ハウスメイドサービスを提供する日本バトラー&コンシェルジュ株式会社を2008年に創業し、現在に至る。

執事としての長年の経験と知見を元に、富裕層ビジネス、おもてなし、ホスピタリティに関する研修・講演・コンサルティングを企業向けに提供している。

代表著作『執事が教える至高のおもてなし』『執事だけが知っている世界の大富豪58の習慣』。日本国内、海外での翻訳版を含めて約20冊の著作、刊行累計50万部を超える。

本物執事の新井直之
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