執事が実践する共感会話術「サオス」とは?

執事が実践する共感会話術「サオス」とは?

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富裕層接客を極めるコミュニケーション技術

富裕層のお客様に接する執事にとって、接客とは単に礼儀正しく丁寧に対応するだけではありません。執事が行う接客には、お客様が心の底から「理解された」「尊重された」と感じるような共感が欠かせません。

本稿では、執事が現場で実践している会話術「サオス」をご紹介します。これはシンプルながら効果が高い方法であり、お客様の感情や価値観に寄り添い、共感を示すことを目的としています。

「サオス」とは、次の言葉の頭文字をとったものです。
   • 「サ」=「さすがですね」「最高ですね」
   • 「オ」=「面白いですね」「驚きました」
   • 「ス」=「すごいですね」「素晴らしいですね」「素敵ですね」


この「サオス」を駆使したコミュニケーションは、富裕層との接客において高い効果を発揮します。以下では、その具体的な活用方法と注意点を解説します。


なぜ「サオス」が効果的なのか 心理学的背景から理解する

お客様とのコミュニケーションにおいて、相手が最も求めていることの一つは「共感されること」です。心理学者カール・ロジャーズ(1951)は、相手の感情に寄り添い、共感的理解(Empathic Understanding)を示すことが、相手の心を開き、深い信頼関係を築く基礎となることを明らかにしました。

「サオス」は、まさにこの共感的理解を具体的な言葉で伝える技術です。「さすがですね」「面白いですね」「素晴らしいですね」という言葉は、相手が持っている自己承認欲求(マズロー,1943)を効果的に満たすことができます。自己承認欲求とは「他者から認められたい」「価値を感じたい」という強い欲求であり、特に富裕層など社会的地位が高い人ほどこの欲求が強い傾向にあります(新井直之, 2016)。


執事が実践する「サオス」の具体的な使い方と効果

「サ」:さすがですね・最高ですね

お客様の成果や選択、行動に対して「さすがですね」「最高ですね」と共感を示します。
例えば、お客様が高級時計を身に着けていた場合、執事は「さすがですね、お目が高いです。洗練されたデザインでお客様にピッタリです」と伝えます。これは単なる褒め言葉ではなく、お客様の選択眼やセンスに共感を示したことになり、満足感を高めます。


「オ」:面白いですね・驚きました

お客様の話題に新鮮な驚きや興味を示し、心から関心を持っていることを伝えます。
例えば、お客様が趣味の話をされた際には、「面白いですね、初めて伺いました。とても興味深いです」「驚きました、そのような素敵な趣味をお持ちなのですね」と伝えることで、相手は自分の価値観や趣味が尊重されたと感じ、心を開いてくれます。


「ス」:すごいですね・素晴らしいですね・素敵ですね

お客様の行動や考え方に感動や称賛の気持ちを伝え、より深い共感を示します。
例えば、お客様が社会貢献活動をされている話をされた場合、「素晴らしいですね、社会のためにそこまで行動されるなんて、すごいです」「素敵ですね、お客様のそうしたお気持ちには頭が下がります」と共感を示すことで、お客様自身の行動に誇りを感じていただけます。


「サオス」を使う際の注意点

① 真摯さがなければ逆効果になる

お客様は敏感であり、単なるお世辞や形だけの共感は簡単に見抜いてしまいます。表情や声のトーンも含めて、本心からの共感を伝えることが重要です。


② 「褒める」よりも「共感」を示すことが大切

「褒める」という行為には上下関係や上から目線と捉えられるリスクもあります。特に富裕層や社会的地位が高いお客様に対しては、単純に「褒める」だけではなく、「共感」や「尊敬の念」を伝えるという姿勢を忘れてはなりません。言葉の選び方に気をつけ、「さすが」「素敵」という言葉を使う場合にも、相手を立てつつ、自分を謙虚な立場に置くことを意識しましょう。


③ 過剰に使わず自然に

「サオス」は連発すると価値が薄れます。お客様の発言や行動に対して自然なタイミングで、適切な言葉を選んで使うことが重要です。


執事サービスの現場事例から見る「サオス」の成功例

ある富裕層のお客様が自宅の書斎を案内してくださった時のことです。書斎には珍しいコレクションが並んでいました。この時、「さすがですね。大変素敵なコレクションでございます。特にこちらは面白いですね。お客様のセンスが感じられて素晴らしいです」と伝えました。このように具体性をもって「サオス」を組み合わせて使うことで、お客様は自分のコレクションを高く評価されたと感じ、非常に喜ばれました。


執事サービスで培った技術を講演や研修で提供

弊社では、こうした執事サービスで培った「サオス」をはじめとする接客コミュニケーション技術を、各業界の企業や団体に向けて講演・研修として提供しています。

「富裕層向けの接客スキルを高めたい」「執事の経験をビジネスに応用したい」などのニーズに対応し、実践的かつ心理学的根拠に基づいた内容で、ご好評をいただいています。

富裕層対応のプロフェッショナルである執事の技術を取り入れ、貴社のサービスを一段と高めてみませんか?


【参考文献】

   •    新井直之 (2016)『執事が教える至高のおもてなし』きずな出版
   •    Rogers, C.R.(1951) “Client-Centered Therapy”
   •    Maslow, A.H.(1943) “A Theory of Human Motivation”

記事執筆者・監修者

新井 直之
(NAOYUKI ARAI)

執事
日本バトラー&コンシェルジュ株式会社 代表取締役社長
一般社団法人 日本執事協会 代表理事
一般社団法人 日本執事協会 附属 日本執事学校 校長

大富豪、超富裕向け執事・コンシェルジュ・ハウスメイドサービスを提供する日本バトラー&コンシェルジュ株式会社を2008年に創業し、現在に至る。

執事としての長年の経験と知見を元に、富裕層ビジネス、おもてなし、ホスピタリティに関する研修・講演・コンサルティングを企業向けに提供している。

代表著作『執事が教える至高のおもてなし』『執事だけが知っている世界の大富豪58の習慣』。日本国内、海外での翻訳版を含めて約20冊の著作、刊行累計50万部を超える。

本物執事の新井直之
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